2004年8月


チラシ掲載文


中西B(廃業希望者)



 今さらやめられないものがある、そうでなければ「廃業」する必要などあるわけがない。あちこちでしみったれた晩鐘を鳴らすのが、最近の意匠になっている。ロマン主義的な断念の決断を大仰におこなう、こんな滑稽な「上演=言説」は気にとめる意味もない。それよりも、ひっそりとおこなわれる現状追随の「国民的上演」に目を向けなければいけない。暗黙の同意に支えられ、素晴らしいおぞましさでおこなわれる「上演」、あらゆるところでおこなわれながら皆はそれを目にしているはずなのに何を感じているのか、それとも皆はこんな「上演」が心底好きなのだろうか? 「上演」は参加自由で退出不可だが、私だってこれが終わることがあるなんて信じられない!

 10年前に死んだはずの絶対演劇が亡霊になって「廃業」を呼びかけている。私たちはこの亡霊のご託宣をそうすんなりと実行するわけにはいかない。私たちが継承しなければならない権利=義務が何か問い直し、そのために亡霊と向き合うべきだ。デンマークという牢獄の鍵は下部構造の実在と私たちのそこへの偶発的で絶対的な帰属の認識だ。私たちはこの亡霊が何者か見極めるために、まだ逡巡しなくてはいけない。今さらやめられないのは牢獄の鍵を手に入れることのはずだ。


CUATRO GATOS

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